6月14日の日記
2011年6月13日Oさんとは、
オレの左隣の席で、いつも黙々とブログを書いている45歳・独身男のことであり、
このブログでも2度ほどご登場いただいたているのでここで詳しくは書かないが、
基本的に寡黙なおっさんなので、隣にいることでそれほど害を被ることはない。
一方で、右隣りにはHさんというまた別のおっさんがいる。
このおっさんに人間的な魅力があることは認める。
が、 その人間性故に、様々な被害に合わされてきたこともまた事実である。
この人に飲みに誘われたときには、ただで帰ることはできない。
決まって朝までコースになる。
しかし、それだけならまだいい。
問題は、Hさんの金銭感覚にある。
普段から借金まみれのオノレを呪うようなことをオレに訴えているくせして、
飲みに行くとなると、決まって社長や芸能人が通うような高級な店ばかりを選び、
そこでおっさん二人では食べきれないくらいいろいろなものをジャンジャンと注文していく。
もちろん、それでオゴリであれば感謝こそすれ文句は言わない。
しかし、その当たりは少ししっかりしていて、
お会計のその場では、自分のカードでオレの分を含めた飲食代すべてを支払い、かっこよく店を後にするのだが、後日メールで請求してくる。
一緒に飲みにいくようになった当初は、年長者としての気遣いからか、
7:3くらいの割合で多めに払い、オレへの請求額を抑えていてくれていたが、
回を重ねるうちに、その辺りの気遣いがなくなってきた。
そして、ここのところは、ほぼ割り勘通りの請求が来る。
食い物にそれほど興味のないオレからしたら、これは迷惑以外の何者でもない。
だから、先週の金曜の夜11時くらいに、
「焼肉を食いにいきたい」と言い出したときには、
どう断るかいろいろと考えを頭のなかにめぐらせることとなった。
左隣のOさんは遠の昔に帰っている。Oさんに振ることはできない。
先約があるというのが一番当たり障りのない断りのように思えたが、
もう11時を過ぎた今から、先約があるというのは、
いかにも嘘っぽく聞こえるに違いない。
では、体調が良くないなどといえばどうか。
それも少し考えたが、体調を理由に断るというのは、
本当に40度近い熱があるとかなら別だが、どうもオレの性には合っていないようなのだ。
少なくとも夜の11時まで仕事をやるだけの体力があるなら、
焼肉を食うぐらいはできそうなものだろうとオレは考えてしまう。
よって、体調のせいにするのはひとまずパスとなった。
そういう訳でしばらく、パソコンに向かい仕事をしているフリをしながら、
何かいい断り方がないものかと考えた末に、
オレは確信の持てぬままにこう言ったのだ。
「Hさん、すんまへん。 誘ってもらえるのはホンマ有難い思うてるんでっけど、
実は今日うちのアルジより早よ家に帰らなアキマヘンねん。
なんでか言うたら、今日、家出るときクーラー消すの忘れて出てしもたんですわ。
家出てすぐそれに気づいたんですが、
今日、アルジは飲み会で帰りは終電になるやろ言うてたから、まあ、ええかな、バレへんやろ思て、
この時間まで仕事しとったんですが、
もうそろそろ帰らな、ホンマやばいんですよ。
いつも言うてるように、こんな失態がアルジにばれたら、オレ間違いなく殺されます」
「じゃあ、オマエも終電まで付き合えよ」間髪を入れず、Hさんは言った。そして、
「よし、じゃあ今日は1時間一本勝負だ!」
さて、それから結局いつも通り朝の5時までつき合わされ、
雨のなかタクシーで家に帰り着いたときには、すでに辺りは明るくなっていた。
今日、会社に着いて、パソコンを立ち上げると、
すでにHさんからの請求メールは届いていた。
【清算結果】
H:3万6400円
くび:3万5000円
【内訳】
1件目合計:5万2800円
H:2万7000円
くび:2万5800円
2件目合計:1万8600円
H:9400円
くび:9200円
Hさんは隣にいながら、このメールについて何も言わず、
パソコン画面に向かって淡々と仕事をしている。
オレは「ちょっと銀行行ってきますわ」と言って席を立った。
そのとき、
左隣りから、オレを呼び止める声がした。
「先週もお願いしたけど…」Oさんが言った。顔にはどこか悲壮感が漂う。
「なんでしたっけ?」オレは言った。
「…悪いけど、やっぱり10万円貸してくれるかな」
ああ、そういえば、そんな話あったな、確かに先週、ボソボソそんなことを言ってたっけ、とオレは思った。
いったい、こんなオッサンが何に10万円も使うのだろう?
それに、まあ、いい歳して。
これこそ本物のダメ人間だな。こういう歳の取り方は絶対してはいけない、、、
「ええですよ、ほな、これからおろしてきますわ」
オレは言った。そして、銀行へと向かったのだった。
オレの左隣の席で、いつも黙々とブログを書いている45歳・独身男のことであり、
このブログでも2度ほどご登場いただいたているのでここで詳しくは書かないが、
基本的に寡黙なおっさんなので、隣にいることでそれほど害を被ることはない。
一方で、右隣りにはHさんというまた別のおっさんがいる。
このおっさんに人間的な魅力があることは認める。
が、 その人間性故に、様々な被害に合わされてきたこともまた事実である。
この人に飲みに誘われたときには、ただで帰ることはできない。
決まって朝までコースになる。
しかし、それだけならまだいい。
問題は、Hさんの金銭感覚にある。
普段から借金まみれのオノレを呪うようなことをオレに訴えているくせして、
飲みに行くとなると、決まって社長や芸能人が通うような高級な店ばかりを選び、
そこでおっさん二人では食べきれないくらいいろいろなものをジャンジャンと注文していく。
もちろん、それでオゴリであれば感謝こそすれ文句は言わない。
しかし、その当たりは少ししっかりしていて、
お会計のその場では、自分のカードでオレの分を含めた飲食代すべてを支払い、かっこよく店を後にするのだが、後日メールで請求してくる。
一緒に飲みにいくようになった当初は、年長者としての気遣いからか、
7:3くらいの割合で多めに払い、オレへの請求額を抑えていてくれていたが、
回を重ねるうちに、その辺りの気遣いがなくなってきた。
そして、ここのところは、ほぼ割り勘通りの請求が来る。
食い物にそれほど興味のないオレからしたら、これは迷惑以外の何者でもない。
だから、先週の金曜の夜11時くらいに、
「焼肉を食いにいきたい」と言い出したときには、
どう断るかいろいろと考えを頭のなかにめぐらせることとなった。
左隣のOさんは遠の昔に帰っている。Oさんに振ることはできない。
先約があるというのが一番当たり障りのない断りのように思えたが、
もう11時を過ぎた今から、先約があるというのは、
いかにも嘘っぽく聞こえるに違いない。
では、体調が良くないなどといえばどうか。
それも少し考えたが、体調を理由に断るというのは、
本当に40度近い熱があるとかなら別だが、どうもオレの性には合っていないようなのだ。
少なくとも夜の11時まで仕事をやるだけの体力があるなら、
焼肉を食うぐらいはできそうなものだろうとオレは考えてしまう。
よって、体調のせいにするのはひとまずパスとなった。
そういう訳でしばらく、パソコンに向かい仕事をしているフリをしながら、
何かいい断り方がないものかと考えた末に、
オレは確信の持てぬままにこう言ったのだ。
「Hさん、すんまへん。 誘ってもらえるのはホンマ有難い思うてるんでっけど、
実は今日うちのアルジより早よ家に帰らなアキマヘンねん。
なんでか言うたら、今日、家出るときクーラー消すの忘れて出てしもたんですわ。
家出てすぐそれに気づいたんですが、
今日、アルジは飲み会で帰りは終電になるやろ言うてたから、まあ、ええかな、バレへんやろ思て、
この時間まで仕事しとったんですが、
もうそろそろ帰らな、ホンマやばいんですよ。
いつも言うてるように、こんな失態がアルジにばれたら、オレ間違いなく殺されます」
「じゃあ、オマエも終電まで付き合えよ」間髪を入れず、Hさんは言った。そして、
「よし、じゃあ今日は1時間一本勝負だ!」
さて、それから結局いつも通り朝の5時までつき合わされ、
雨のなかタクシーで家に帰り着いたときには、すでに辺りは明るくなっていた。
今日、会社に着いて、パソコンを立ち上げると、
すでにHさんからの請求メールは届いていた。
【清算結果】
H:3万6400円
くび:3万5000円
【内訳】
1件目合計:5万2800円
H:2万7000円
くび:2万5800円
2件目合計:1万8600円
H:9400円
くび:9200円
Hさんは隣にいながら、このメールについて何も言わず、
パソコン画面に向かって淡々と仕事をしている。
オレは「ちょっと銀行行ってきますわ」と言って席を立った。
そのとき、
左隣りから、オレを呼び止める声がした。
「先週もお願いしたけど…」Oさんが言った。顔にはどこか悲壮感が漂う。
「なんでしたっけ?」オレは言った。
「…悪いけど、やっぱり10万円貸してくれるかな」
ああ、そういえば、そんな話あったな、確かに先週、ボソボソそんなことを言ってたっけ、とオレは思った。
いったい、こんなオッサンが何に10万円も使うのだろう?
それに、まあ、いい歳して。
これこそ本物のダメ人間だな。こういう歳の取り方は絶対してはいけない、、、
「ええですよ、ほな、これからおろしてきますわ」
オレは言った。そして、銀行へと向かったのだった。
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